鯨統一郎 浦島太郎の真相

「なみだ学習塾」を読んだ勢いで,近くにあったこの本をもう一度読んでみました。

浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)
鯨 統一郎

光文社 2007-05-19
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あらすじ

ここは「森へ抜ける道」という名の日本酒バー。今日も今日とて常連の僕と山内,マスターの「ヤクドシトリオ」は,益体もない話に花を咲かせている。その中で,どうしても謎の解けない事件のことを話すと,同じく常連客の美人大学院生・桜川東子さんは,何故か日本のお伽噺になぞらえて鮮やかな推理を展開する。

感想

さて,こいつは鯨氏お得意の新解釈ものです。これは連作物の第二弾で,前作は「九つの殺人メルヘン」でこれは西洋の童話をもとにした作品でした。舞台はとあるバーでの一夜のお話。安楽椅子探偵ものとなるのでしょうが,事件の内容はメインではありません。また,なぞらえられるお伽噺の新解釈もメインではありません。各お話のメインはなんといっても,「ヤクドシトリオ」の繰り広げるマニアックな昭和ねたです。こいつを披露したいから,それが伏線となる昔話ねたを思いつき,そこから事件を考え出したのではと思えるほど,前半のオタクねたはヒートアップします。
それにしてもこの作者は,次から次へとよくねたを思いつきますね。最初ほどのインパクトはさすがにないですが,それでも読むたびに新鮮さを感じさせるアイディアはさすがだと思います。