小林泰三 天体の回転について

仕事のほうもちょっとひと段落。久々に浸かるSFの世界はやっぱりよろしい(^.^)

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
小林 泰三

早川書房 2008-03
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あらすじ

科学文明と無縁に育った青年が空にのびる”天橋立”で出会った女の子は,とびきり可愛い宇宙旅行の案内係だった。

感想

そこここで書評をみかけ読んでみたいと探していたのですが,行きつけの書店では見つからず。ネットで注文しようかと思っていたところ,思いもかけずノベルズの棚ではなくヤングアダルトのコーナーに埋もれていました。(この本屋はやたらと広く,YAのコーナーは小説のコーナーの奥まったところに隠れています) それもこのなんともいえない表紙絵のおかげでしょう。小林泰三氏とこの表紙絵との組み合わせはなんとも言えず斬新なものを感じました。もひとついうと,裏表紙の内容紹介の文章(上のあらすじのとこにも引用してますが)も実は中身とはかなりかけ離れていたりします。
ちょっぴり不安を胸に買って帰り読み始めましたが,読んで安心やはり小林氏のSFは健在でした。どこから見ても良質のSF素材を使った純然たるSFですが,なぜかホラー風味が漂ってます。表題作はがんばってあまり表には出していませんが,他の作品はなんか全体的に気持ち悪い怖さが見え隠れしてたりします。どうもクトゥルフの怪物が出てきそうで怖かったりします。
ストレートなSF読みを自認している私ですが,予想とは微妙にずれた方向にどのストーリィも進んでいって居心地の悪さを感じるのですが,それがまたこの作家の魅力ですね。探し回った甲斐は十分にありました。