デイヴィッド・ウェーバー 反逆者の月

最近本屋通いの頻度が落ちていることから,あんまし本を買ってません。それでも十分すぎるほどの積読本が待っているのでその中からとりあえず1冊。

反逆者の月 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-15)反逆者の月 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-15)
中村 仁美

早川書房 2007-02
売り上げランキング : 190726
おすすめ平均

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あらすじ

人類が月だと思っていたのは、実は巨大な宇宙戦艦だった! 5万年前に発生した反乱により、やむなく太陽系にとどまることになった戦列艦は、月を破壊し入れ替わったのだ。艦内はまったくの無人。総員退艦した乗員たちは二派に分かれて、地球で戦いつづけている。だが今、怖るべき敵の襲来を告げる通信を受信した艦載コンピューターのダハクは、現状打開のため、月を探査中のマッキンタイア少佐を捕獲し、驚くべき提案をする!?

感想

なんか久しぶりに正統派ミリタリーSFを読みました。なんというかこれぞアメリカ!って印象です。内容はもう痛快スペオペって感じで,さくさくと気持ちよく読み進めることができ面白いんですが,なんかそれだけですね。SFを読む知的興奮てやつが感じられません。あと主人公のこれぞヒーローって感じのストレートさもちょっとひきました。なんとなく海外のSFにはハードSFを求める傾向を持ってますので。
それでも深く考えることなく活劇を楽しむにはよい作品でした。さすがにここでおわりとなると「おいおいっ」と突っ込みたくなりますが,3部作だそうですから続きを楽しみにしてみましょうか。

森岡浩之 騒がしい死者の街−優しい煉獄2

久しぶりに本を読み込んでるのはよいですが,今度はここに載せるのが滞ってきてしまいました。

騒がしい死者の街―優しい煉獄 2 (TOKUMA NOVELS―Edge)
騒がしい死者の街―優しい煉獄 2 (TOKUMA NOVELS―Edge)森岡 浩之


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あらすじ

電子的な死後の世界に犯罪が導入された。何の意味もなかった自称探偵は忙しい毎日を送ることになった。あろうことか警官と名乗る者まで出てくる始末だ。この先この世界はどうなっていくのか・・・

感想

さて問題です。この作品ははたしてSFというジャンルに入るのでしょうか。設定や世界観は紛れもなくハードSFだと思うのですが,進んでいく物語は探偵もの?かな。それでも第1巻に比べるとSF的設定が見え隠れしてきますが,それでもあくまでエッセンスのひとつって感じです。
この作者の作品は実は他のものはあまり読んだことがなく,こんな作風なんですかね。どっかのレビューに載ってましたが,軽い神林風って感じは確かにあります。連作短編集でもありさっくりと読むにはなかなかよいのではと思います。SF作品を期待しなければ。
それでも,登場人物も増えてきて伏線らしきものも見えてきてこの先の展開が楽しみだったりもします。
 

小林泰三 天体の回転について

仕事のほうもちょっとひと段落。久々に浸かるSFの世界はやっぱりよろしい(^.^)

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
小林 泰三

早川書房 2008-03
売り上げランキング : 8934
おすすめ平均

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あらすじ

科学文明と無縁に育った青年が空にのびる”天橋立”で出会った女の子は,とびきり可愛い宇宙旅行の案内係だった。

感想

そこここで書評をみかけ読んでみたいと探していたのですが,行きつけの書店では見つからず。ネットで注文しようかと思っていたところ,思いもかけずノベルズの棚ではなくヤングアダルトのコーナーに埋もれていました。(この本屋はやたらと広く,YAのコーナーは小説のコーナーの奥まったところに隠れています) それもこのなんともいえない表紙絵のおかげでしょう。小林泰三氏とこの表紙絵との組み合わせはなんとも言えず斬新なものを感じました。もひとついうと,裏表紙の内容紹介の文章(上のあらすじのとこにも引用してますが)も実は中身とはかなりかけ離れていたりします。
ちょっぴり不安を胸に買って帰り読み始めましたが,読んで安心やはり小林氏のSFは健在でした。どこから見ても良質のSF素材を使った純然たるSFですが,なぜかホラー風味が漂ってます。表題作はがんばってあまり表には出していませんが,他の作品はなんか全体的に気持ち悪い怖さが見え隠れしてたりします。どうもクトゥルフの怪物が出てきそうで怖かったりします。
ストレートなSF読みを自認している私ですが,予想とは微妙にずれた方向にどのストーリィも進んでいって居心地の悪さを感じるのですが,それがまたこの作家の魅力ですね。探し回った甲斐は十分にありました。

林譲治 進化の設計者

久しぶりにまとまった時間が取れたので,たまってた本を少しずつ読み進めてみました。

進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)林 譲治

おすすめ平均
starsおかずたっぷりの三色弁当
starsまとまりきらないかな
starsパーフェクト人間?
stars創造論と進化論の戦い・・?

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あらすじ

先進国がユビキタス社会を実現した2036年、世界中で異常気象が頻発していた。横浜の海洋開発研究機構(JAMTECS)の吉野尚美は、気象予測シミュレーションが大型台風の進路予測を大きく誤った原因の究明に追われていた。阪神北市では福祉事業を妨害する団体を調査中のジャーナリストが失踪、高齢福祉課の日向拓海が警察と合同調査を進めることとなる。その頃、日本主導の巨大人工島建設計画が進行中のスマトラ沖で、原人化石の発掘作業を進める古生物学者が行方不明となった。JAMTECSの山城星良は、事件の背後に潜む優生学的思想を持つ集団ユーレカの影を追う。3つの事件を繋ぐ謎が明らかになるとき、生命観の問い直しを迫る驚愕の真実が顕現する

感想

またもや林譲治氏です。今回も楽しんで読ませていただきました。途中から前回読んだののようにトンデモなほやほやな展開になるのではとはらはらしながら読んでましたが,今回は地に足の着いたラストを迎えなかなか面白かったです。この作者は,もしかしたら本格SFよりもこの作品のようにSFミステリーorアクションっぽいほうが向いているのではなどと考えたりもしました。なかなかに壮大なプロットをもとに物語が創られているのですが,もう少しその内容については読み込んでいきたいって思わせられるとこ多かったです。まあ,本気で書き込んでいけばどれだけの分量の大長編となるかは想像もできませんが。それでも猫屋敷のところはもっと他とのつながりが読んでみたかったです。単に本編の状況説明(閑話休題ってところか)ではさまれているだけというのはもったいないような気がします。あのパートだけで中編小説が創れそうな気もしましたから。
3つの事件が平行して無関係のように進んでいくのですが,途中で読むのをやめられませんね。盛り上げておいて違うパートってのがけっこう続いていくので,最後で1本にまとめられるとこなんぞはなかなか読み応えがあります。

福井晴敏 機動戦士ガンダムUC ユニコーンの日

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)
機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)福井 晴敏

おすすめ平均
stars3人の運命の出会い
stars福井作品として
stars福井+UC
starsユニコーン
starsすごく面白いガンダム「小説」です

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機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下) (角川コミックス・エース 189-2)
機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下) (角川コミックス・エース 189-2)福井 晴敏

おすすめ平均
stars父子の邂逅、バナージとUCガンダムの覚醒
starsおもしろいやん!
starsユニコーン
starsもはや映像より厳しく、、、
stars映画もしくはOVA化を!

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あらすじ

人類が,増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって一世紀。工業用コロニーに住む平凡な少年,バナージ・リンクスは,謎の少女オードリー・バーンとの出会いから「ラプラスの箱」をめぐる事件に巻き込まれていく。

感想

ガンダム福井晴敏氏という異色とも思われる組み合わせにひかれ買ってみました。これはあたりです。今までのガンダム小説とは一味もふた味も違います。ガンダム小説は基本好きで,あれはあれでよいと思うのですが,この人はやはり格が違うように思われます。どうやら作者自身ガンダムのコアなファンらしく,しっかりとガンダムの世界を描いていますが,しっかりとした小説になっています。富野御大のものに比べても読みやすいですし(^.^) ただ,1冊の分量がかなり少ないので第1巻だけでは何がなにやらという感じですが,2巻まで続けて読むとようやく物語が動き始めてきた感じです。それでもまだ序章というところで,この先どうなるかがかなり楽しみです。なんか図書券やら図書カードやらがけっこうな量手に入ったので勢いで3・4巻を買って一気に読んでしまいましょう。

林譲治 記憶汚染

5月というのに暑い日が続きます。昼間の暑さにへばって夜はなかなか起きていられませんが,なんとか読み進めております。

記憶汚染 (ハヤカワ文庫JA)記憶汚染 (ハヤカワ文庫JA)
林 譲治

早川書房 2003-10
売り上げランキング : 145795
おすすめ平均

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あらすじ

破滅的な原発テロの教訓から、携帯情報端末による厳格な個人認証が課された近未来日本社会。土建会社社長の北畑は、奈良の弥生遺跡から謎の文字板を発見するが、なぜかそれは200年前のものと推定された。いっぽう痴呆症研究に従事する認知心理学者・秋山霧子は、人工知能の奇妙な挙動に困惑していた。2つの事象が交わったとき、人類の営為そのものを覆す驚愕の真実が明らかになる―それは新たなる破滅か、それとも。

感想

林譲治氏です。いつもの通り面白いんですが,なんかそれだけです。最初は遺跡調査と人工知能の研究というまったく異なった二つのアプローチから,謎が謎を呼ぶ展開でかなり興味深く読み進めました。しかし,これらの事件が交わっていくあたりからちょっぴりクエスチョンマークが・・。最後の種明かしのあたりはおいおいって突っ込みたくなるような展開で,むりやりに終わらせた感がありあり。物語のプロットやアイディアなどはかなり興味深いのですが,なんか物語の描写が平面的ってのも影響しているのでしょうか。一昔前の情景描写がメインの海外SFのようなテイストですね。

眉村卓 司政官全短編

約1ヶ月ぶりです。今回はじっくり読み込みました。

司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)
司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)眉村 卓

おすすめ平均
stars文庫本で1500円は厳しい価格ですが価値はあります
stars出てくれてよかった。

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あらすじ

地球人類が星々に進出した時代。だが、それまでの連邦軍による植民惑星の統治が軋轢を生じさせるに及び、連邦経営機構は新たな制度を発足させた――それが司政官制度である。官僚ロボットSQ1を従えて、人類の理解を超えた植民星種族(ロボット、植物、角の生えたヒト型生命など)に単身挑む、若き司政官たちの群像。

感想

今から20数年前のこと,学生時代することもなくSFを読み漁っていた頃。「SFマガジン」は常にそばにあり,また新しい刺激を与えてくれる一番のものであった。その雑誌の中で読み始めた頃から毎号連載されていた眉村卓氏の「引き潮のとき」。いくつもの作品が新しく始まり終わっていく中,掲載されているのが当たり前であり当たり前のように読んでいた。社会人となり時間に追われ,いつしか「SFマガジン」を手に取ることも少なくなっていた。そして気がつくと,「引き潮のとき」は連載が終わっていた。
てな感じでとても懐かしいタイトルを偶然Webでみつけ,本屋さんを廻ってみました。かなり分厚くお値段も・・・でしたが迷うことなく購入。その夜からちまちまと読み込んでいきました。司政官シリーズの短編に眼を通したのは初めてでしたが,とても20年前に書かれたものとは思えずたっぷりと楽しませていただきました。そのうえ司政官についての解説までついておりとってもお買い特っ!
内容的には派手なアクションがあるわけではなく,渋いヒーローも出てきません。きらめくようなSFガジェットやアイディアがあふれてもいません。それでもそれぞれの時代にそれぞれの惑星で繰り広げられるヒューマンドラマに時間を忘れて引き込まれていくのは,SF第一世代の貫禄とでも言ってしまいましょうか(^^)
ぜひ司政官シリーズの長編2作も再刊をしてほしいものです。特に「引き潮のとき」は当時も思っていたのですが,通して読んでみたいものです。一応は黒田藩プレスというところからペーパーバックの扱いで出版はされていますが,さすがにちょっとお値段が厳しめな設定なので,ぜひ早川さんか創元社さんにがんばっていただきたい!