林譲治 進化の設計者

久しぶりにまとまった時間が取れたので,たまってた本を少しずつ読み進めてみました。

進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)林 譲治

おすすめ平均
starsおかずたっぷりの三色弁当
starsまとまりきらないかな
starsパーフェクト人間?
stars創造論と進化論の戦い・・?

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あらすじ

先進国がユビキタス社会を実現した2036年、世界中で異常気象が頻発していた。横浜の海洋開発研究機構(JAMTECS)の吉野尚美は、気象予測シミュレーションが大型台風の進路予測を大きく誤った原因の究明に追われていた。阪神北市では福祉事業を妨害する団体を調査中のジャーナリストが失踪、高齢福祉課の日向拓海が警察と合同調査を進めることとなる。その頃、日本主導の巨大人工島建設計画が進行中のスマトラ沖で、原人化石の発掘作業を進める古生物学者が行方不明となった。JAMTECSの山城星良は、事件の背後に潜む優生学的思想を持つ集団ユーレカの影を追う。3つの事件を繋ぐ謎が明らかになるとき、生命観の問い直しを迫る驚愕の真実が顕現する

感想

またもや林譲治氏です。今回も楽しんで読ませていただきました。途中から前回読んだののようにトンデモなほやほやな展開になるのではとはらはらしながら読んでましたが,今回は地に足の着いたラストを迎えなかなか面白かったです。この作者は,もしかしたら本格SFよりもこの作品のようにSFミステリーorアクションっぽいほうが向いているのではなどと考えたりもしました。なかなかに壮大なプロットをもとに物語が創られているのですが,もう少しその内容については読み込んでいきたいって思わせられるとこ多かったです。まあ,本気で書き込んでいけばどれだけの分量の大長編となるかは想像もできませんが。それでも猫屋敷のところはもっと他とのつながりが読んでみたかったです。単に本編の状況説明(閑話休題ってところか)ではさまれているだけというのはもったいないような気がします。あのパートだけで中編小説が創れそうな気もしましたから。
3つの事件が平行して無関係のように進んでいくのですが,途中で読むのをやめられませんね。盛り上げておいて違うパートってのがけっこう続いていくので,最後で1本にまとめられるとこなんぞはなかなか読み応えがあります。