夢枕獏 陰陽師 夜光杯の巻

暑い日々が続きますが気分転換にゆったりとこんなお話を

陰陽師 夜光杯ノ巻陰陽師 夜光杯ノ巻
夢枕 獏

文藝春秋 2007-06
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あらすじ

若き陰陽師・安部清明雅楽の名手・源博雅龍神,幽鬼,獄卒,怨霊たちが引き起こす怪事件を鮮やかに解決する。「月琴姫(げっきんひめ)」「花占の女(はなうらのひと)」「龍神祭」「月突(つくづく)法師」「無呪(むしゅ)」「蚓喰(みみずく)法師」「食客下郎(しょっかくげろう)」「魔鬼物小僧(まきものこぞう)」「浄蔵恋始末(じょうぞうこいのあれこれ)」の9篇。

感想

このシリーズも9作目となりました(絵物語は除いて)。はじめて手にしたのは学生のころ,うん十年も前のことがうそのようです(^.^) 酒の味を覚え始めたころで,清明と博雅のまことに楽しげな宴の様子に憧れたものです。
今回も期待を裏切らず,どの話も2人の酒のシーンから始まります。そしてどちらかが怪異を語り,清明が解決に乗り出すことになります。「ゆこう」「ゆこう」そういうことになった。いつもの展開となります。
この巻はこれまでより,より静かに話が進んでいくような気がします。そして,悲しい話がいつも以上に淡々と語られて行くようにも思えます。事件が解決した後に,また2人で酌み交わす席での遠い会話がより風情を感じさせます。
秋の夜長にじっくりと読み込みたい話ばかりですが,寝苦しい熱帯夜にもお勧めです。