田中哲弥 大久保町の決闘

突然暑くなりましたな。この気候のおかげでごろごろする時間が増え,読書も進みます。

大久保町の決闘
大久保町の決闘田中 哲弥


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

あらすじ

夏休みを迎えた高校生の光則は,母の実家のある兵庫県明石市大久保町にやってきた。到着早々村安一家の暴力沙汰に巻き込まれ,ここがガンマンの町だと知るがもう遅い。巨漢の黒人ガンマンに救われ一安心するも,光則が伝説の英雄の息子だとわかり住民からは救世主扱い。一目惚れした紅葉が村安一家に誘拐され,決闘の場面に赴いた彼の運命は??

感想

あの田中哲弥氏の伝説のデビュー作品だそうです。最近の作品に比べるとシュールさやわけのわからなさは,まだ薄いようですが,よく読めば,登場人物の変さ加減といいストーリィの脈絡のなさといい,しっかりと「田中哲弥」の作品です。それにしてもどうしてこんなストーリィが一見するとかっちりとした小説の体裁に収まっているのでしょうか。やはり田中氏は異能の作家というしかないですね。
それにしてもデビュー長編でここまで伏線張りまくって(そのうえそれらの説明はされそうな気配が全くない),この後どうするつもりだったのでしょうか。やっぱりどうともするつもりは最初からなかったのでしょうね。その中でも一番気になるのは毛利新蔵氏。書き下ろし番外編でも,やっぱり不在だし。めでたく3部作となっているようなので,この後の復刊を期待です。