冲方丁 スプライトシュピーゲル1

なんとなく本読みのペースが元に戻りつつあるようです。

スプライトシュピーゲル 1 (1)
スプライトシュピーゲル 1 (1)冲方

おすすめ平均
stars心を病んだ妖精たちの戦い
starsライトノベル二大雑誌で連載のシュピーゲル共同戦線

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あらすじ

近未来のウィーン,ミリオポリスと呼ばれるその都には,あらゆる言葉が飛び交い,人々はさまざまな神を信じ,そして,くだらない争いに巻き込まれて命を落としていた。日常の間の中で・・・。
そんな,混沌の中で生きる三人の少女たちがいた。機械化された体を持ち,最新の官給品として,敵を貫く弾丸。<炎の妖精>たち。

感想

いまいち押しのSF作家,冲方さんの最新作です。この表紙絵でかなりひいて,数日間購入を躊躇していましたが読んでみて一安心,やはりよいものはよい! 最近流行の萌え設定でありながら,これでもかというほどハード&シリアス。各話の導入部分のクイズのやり取りも,ギャグっぽい雰囲気で入りながら,その実その真意には悲しいまでの内容が含まれていました。第1巻全6話,読みとめることができず一気に読みきってしまいました。(おかげで就寝時間は午前4時30分。次の日の仕事は辛かった・・・^^;)
作者自身があとがきでも触れていますし,ネットの書評でも批判が出ていた記号を多用した独特の文体も,まったく気にならず,かえってリズムがあって私には読みやすかったです。まぁ,ただリズムにのって一気に読めてしまうので,頭がついていかず何度か同じところをも見直すことはありましたが(^^ゞ あと文体では一場面だけ読みづらいところは鳳が重機関銃を乱射する場面の掃射音のルビ「ダ」の連打。こいつだけはかなりうっとうしかったですね。意味はわかるのですがこれだけくどいと,ここだけは・・・
「マルドゥック」のシリーズと通ずるものを感じて早くもはまってしまいそうな予感がたっぷりですが,主人公の三人娘には,ボイルドのように虚無の世界の底に落ちていかないよう祈っております。