藤崎慎吾 ハイドゥナン

一昨日書き込んだんですが,通信状態が悪くて送信できず内容も消えてしまいました。気を取り直して本日再度書き込みをしてみたいと思います。

ハイドゥナン (上)
発行元:早川書房
価格:¥ 1,785
ハイドゥナン (下)
発行元:早川書房
価格:¥ 1,785
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あらすじ

西暦2032年。未曽有の地殻変動によって、南西諸島に沈没の危機が迫っていた。地球科学者・大森拓哉の警告により政府特別機関が設立されるが、その目的は領海=海底資源喪失を見越しての既得権確保にあった。政府の対応に憤る植物生態学者・南方洋司、地質学者・菅原秀明ら6人の科学者は、独自の「ISEIC理論」によって地殻変動を食い止めるべく、極秘プロジェクトを開始する。いっぽう共感覚をもつ青年・伊波岳志は、南方らに同行して訪れた与那国島で、巫女的存在であるムヌチの後間柚と出会う。

感想

ついに読了いたしました。購入から1年と3ヶ月ほど,読み始めてからでも2ヶ月弱。今思うと長かったですが,読んでいるときはそんな感じは全くありませんでした。体力の衰えとともに(^^ゞ読書スタイルが変わったことがこの長期間にわたった原因でしょう。ほんま夜に起きとれんようになりましたわ。
ところで内容ですが,ある意味この作者ならではの力技ともいえますね。ハードSFバリバリの部分と巫女さんや共感覚という超自然を扱った部分を交互に描き,なおかつ最後にはそいつら結びつけてやろうというのですから。最初は戸惑いも感じましたが,読み進めていくうちにどんどんとはまっていきました。主人公の2人の関係やらその廻りの人物像やら若干ありがちな設定も見受けられましたが,それらを気にさせないほどの圧倒的な自然のスケール感でうならせてくれます。沖縄の温かい風と,破滅へと向かう寒々とした風を感じさせてくれる作品です。総ページ数950ページ弱,決して長すぎると感じさせられることも無く,十分に堪能させてもらいました。発売は去年ですが,今年読んだ本の中のベスト1更新です。