藤崎慎吾 蛍女

とっても久しぶりになりましたが,細々と乱読は続けております。現在は藤崎慎吾著「ハイドゥナン」に挑戦中。こいつもかなり面白くはまるんですが,何しろ膨大な分量の上下巻。そのうえSFガジェット満載でしばしば同じところを読み返すことも。ということでいつ終わるとも分かりません(ただそのあいだがとっても楽しいのですけどね)。ということで今回はその前日譚とも言える「蛍女」のご紹介です。

蛍女
メーカー:朝日ソノラマ
価格:¥ 650
発送:通常24時間以内に発送
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あらすじ

人気のない山中の廃屋に放置された電話機から流れ出る声は、山を破壊して進められるリゾート開発工事の中止を池沢に訴えた。電話の声の主が一カ月前にその山で消息を絶った女性と知り、蛍女の伝説と幼い頃慕った少女の面影を彼女に重ね合わせた池沢は、友人の植物学者・南方と調査を開始する。なぜ、壊れた電話機からありえない声が語りかけるのか。浮かび上がってきたのは、人間の排除に動く「森」の恐るべき意志と、その手段だった。

感想

いやー不思議なお話でした。あらすじ読んでも,表紙を見ても,本文読み始めても,どっからどう見ても都市伝説風のホラー作品でしかありえないのですが,読み終わるとしっかりとしたSFを読んだ読みごたえが山盛りの作品です。バリバリのハードSFとしか言いようがありません。クライマックスなんかはとってもファンタシーなんすけどねぇ。そんなところがこの作者の魅力なんでしょう。「クリスタル・サイレンス」もそうなんですが,大自然の神秘と科学的考察が絶妙のところで融合している作品が多いようです。その両方の情報収集や取材などどれだけの労力がかかっているのでしょうか。すごいの一言に尽きます。ぜひぜひこの路線を突き進んで欲しいです。