田中芳樹原案 七都市物語シェアードワールズ

お手軽に読める本がなくなってしまったので,ちょっと本棚を漁ってみました。

七都市物語 シェアードワールズ
発行元:徳間書店
価格:¥ 940
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あらすじ

田中芳樹原作の「七都市物語」の作品世界を舞台に,四人の作家が新たな物語を紡ぎだす。

感想

いっこうに新作を出さない田中芳樹氏に業を煮やして,他の人たちに強引に続きを書かせたってとこですね(^^)
地球の地軸が90度傾き大災害が起こった後の世界を描いた作品です。「七都市物語」は1990年に刊行。この本は2005年に出版。ってことで田中さんの根強い人気が伺われます。ちなみに一時期この傾向がはやったのか他の出版社から「灼熱の竜騎兵」のシェアードワールズシリーズも出てます。(ただしこちらは長編ですが)
で,七都市物語ですが,やっぱ出版社はいい人選をしていますね。なかでも小川一水氏は出色です。原作の雰囲気やストーリィ展開を継承しながら,ちゃんと小川さんの作風も見られます。まあどちらも世界を描くことの多い作家さんなのでもともと共通点も多いのでしょうが。
田中さんの作品はどれもとてもすきなのですが,七都市物語は私にとっては格別です。どっかひねくれて韜晦ばかりなのに魅力的な登場人物(それも複数。どいつもこいつもふたくせみくせありそうな面々)。綿密に作られた背景世界。そして陰謀渦巻く都市抗争。派手なところはほとんどないのですが,いつ読んでも新鮮で楽しませてもらえます。できれば連作短編集で続きが読みたいです。このシェアードワールズの続編でもよいですが。