マイクル・スワンウィック グリュフォンの卵

最近は仕事もひと段落で,帰宅後も少しは余裕が出たので,何とか読み終わりました。

グリュフォンの卵
発行元:早川書房
価格:¥ 945
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あらすじ

1999年から2004年にかけてヒューゴー賞を受賞した5篇を含む日本オリジナルの短編集。宇宙SFから歴史改変物,タイムトラベルに世界終末SF。さまざまなジャンルをさまざまなスタイルで読ませてくれます。

感想

久々に海外SFへの挑戦です。スワンウィックといえば思い出すのは「大潮の道」です。雑誌などの評判で出版されてすぐに買ったのですが,なかなかに手がつけられず,いまだに積読本の中に埋もれています。もう10年以上も前のことみたいです(^^ゞ それ以来SFマガジンでたまに見かけると思い出して読むくらいの関係でした。それでもやっぱりどっかで気にはなってたんでしょうね,本屋でこの本を見つけると何のためらいも無く手に取り,レジへと持っていっていました。
さてここの作品ですが,「ギヌンガガップ」「スロー・ライフ」「ティラノサウルススケルツォ」そして「グリュフォンの卵」のあたりがかなり印象に残りましたね。最初の2編は,主人公が最後にある決断を迫られます。どちらも主人公は女性ですが,未知の世界に踏み出していく力強さを感じました。しかしその決断が正しいのか,またそれがもたらす結末は語られていません。読者に負かされているようですが,読み終えたあとちょっとばかし考え込まされました。
そして表題作でもある「グリュフォンの卵」。長いです。他の作品はけっこう短くすんなりと読めたのですが,こいつは難敵でした。そのうえ結構わかりにくい。何度も行きつ戻りつ読み返しながら進んだので,時間も結構かかりました。しかし,それくらい苦労して読む価値は十二分以上にありました。読み終わったあとの充実感は久しぶりのものでした。なんか名作映画を見終えたような感覚って言うのですか。
この人の作品は読んでいて情景が絵になって浮かんでくればすごく楽しめるような気がします。「グリュフォンの卵」は最初なかなか絵が浮かばず,何度も同じところを回ってましたが,背景画をができればこっちのもの。あとはじっくりと楽しむだけです。一休みしたら,「大潮の道」を探し出してこようかな・・・
ところで解説を読んでいて驚いたのですが,この作者日本で出版された本はこれが2冊目なんですね。結構名前は聞くし,面白いと思うのですが不思議ですな。長編も6冊出してるし,短編もかなりな数書いててなんですが。ほんま不思議だ。