林譲治 ストリンガーの沈黙

ストリンガーの沈黙
発行所:早川書房
価格:¥ 1,785
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あらすじ

ブラックホール・カーリーの周囲に建造された人工降着円盤は、巨大なエネルギー転送システムとして太陽系社会を変革した。それから数十年が経過した西暦2181年、宇宙空間に適応したAADDの人間たちと地球側との対立は発火点を迎えようとしていた。地球艦隊の武力侵攻が噂されるなか、AADDの伝説的メンバーであるアグネスは天王星軌道上の人工降着円盤へと向かう。システム全体を崩壊させかねない異常振動の原因を解明するためだった。一方、太陽系辺境の観測施設シャンタク2世号では、AADDのウスールらが、未知の知性体ストリンガーとの交信を模索していた。

感想

今月はNet環境の無い場所での泊りが何回かあったので,やっと読了することができました。前作とはうって変わって手に汗握る展開の長編です。それも,宇宙戦争と異星人とのファーストコンタクトが平行して進められていきます。特に前半部分のAADDと地球圏との開戦までの緊迫感は秀逸。また,随所に見られるAADDの組織としての異質さ。ある種のユートピアとしてその異質な組織が描かれているのがまた,興味深いところです。そして,後半部分のストリンガーとのファーストコンタクト。こちらは正直言って何がなにやらという面もありましたが,ほんとにまずコンタクトのスタート地点に立てたということで,この後の展開に大いに期待です。
ところで,プロローグが何なのか最後の最後に明かされるのですが,こういうふうに持っていくとは全く予想していなかった分,かなり新鮮でした。この伏線が今後どのようにストーりぃに絡んでいくのか,それとも流されるのか,これもまた続編が楽しみなところです。