赤城毅 熱沙奇巌城

あらすじ

地下王国アガルタの秘法を巡りゴビ砂漠に旅立つ冒険児伊集院従吾。その行く手をさえぎるのは赤色騎馬隊の豪腕将校。そしてその影には人類破滅をたくらむ秘密結社の大幹部,鉄仮面"教授"。モンゴルを舞台に繰り広げられる,手に汗握る冒険活劇。

感想

著者のデビュー作である「魔大陸の鷹」の8年ぶりの続編です。この作者は一貫して大正から昭和初期にかけての日本を舞台としたそれこそ「冒険活劇」と呼ぶにふさわしい小説を書き続けている人です。この人の作品の最大の特徴は安心して読めることではないでしょうか。かなりハチャメチャな設定もしっかりとした筆致で読ませ,最後はハッピーエンド。時には何も考えずに純粋に活劇を楽しむというのも悪くないもんです。
ところで,とても間に8年のブランクがあるとは感じられないこのシリーズ,よく言えばデビュー当時から完成された文章だったということでしょうか。一時期立て続けに新作が出ていたのでそんなにデビューから時間がたっていると感じないのもひとつの理由でしょうかね。
そういえば,今日テレビで「T.R.Y.」をやってましたが,この人の作品はずばりあの世界ですな。さすがに「魔大陸の鷹」シリーズは設定が無茶すぎて映画にはならんでしょうが,「贋作遊戯」のシリーズなんぞは,映画の題材にはよいのではないでしょうか?