桂枝雀 枝雀落語大全 第三十三集

枝雀落語大全(33)
枝雀落語大全(33)
posted with amazlet on 06.02.20
桂枝雀 かつら枝代 桂む雀 桂雀松 桂米平
東芝EMI (2001/04/25)
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感想

唐突な登場ですが落語でございます。
思い起こせば20年ほど前,学生時代の頃から上方落語ってのに惹かれまして今日まで続いております。特にお気に入りは古典落語。本日ご紹介の枝雀師匠とその師匠である米朝師匠。このお二方はもう何といってご紹介すればよいのやら。このお二方を聞き込んでしまうと他の方はちょっとという気分になってしまいます。
面白いことにこのお二方,一見全く芸風が違うように見えますがよく聴いてみるとやはり師弟関係,いたるところに共通点が見られます。ちょっとした話の振り方,場面交代など米朝師匠の影響をかなり見ることができます。また,米朝師匠も人間国宝といわれじっくりと話を聞かせるように思われますが,しれっとした語り口でかなり素っ頓狂な内容も多く,枝雀師匠のルーツだなと思わされます。
さてこの第三十三集ですが「時うどん」と「軒付け」の2席が収められており,私の知ってる枝雀師匠の題目の中では1位,2位を争うものと考えます。「時うどん」は江戸落語でも有名な「時そば」の原型であり,若手のやる演目というイメージが強いですが,このバージョンはこの頃取り組んでいた英語落語も取り入れており,本編は短いもののしっかりと聞かせてくれます。
もう一方の「軒付け」はあまり聴いたことのない演目ですがこれがまた面白い。前半と後半とはまったく別の話なんですが,CDで聴いていても枝雀師匠のオーバーアクションが目に浮かぶような熱演で,じっくりと話の内容で笑わせてもらえます。また,この話のメインは浄瑠璃語りですが,他の演目にも下手な浄瑠璃語りの典型として同じようなエピソードが出てくるのが興味深かったですな。
日本の古典芸能ということで敬遠される方も多いとは思いますが,私のような洋楽ハードロック好きでも十分はまれます。特に上方落語は肩肘張ることなく気楽に笑えるものばかりなので,癒し系ということでもお勧めします。ただ江戸落語のように人情話などほろっとするような話はこの方々には間違っても出てきませんので,そういうのを求める方は他を探したほうがよいと思いますよ(^^)