冴木忍 リュシアンの血脈

リュシアンの血脈 夜よりほかに知るものはなく
冴木 忍
角川書店 (2005/05/29)
売り上げランキング: 27,681

あらすじ

古の大魔導師の血をひくが故に妖魔たちを引き寄せてしまう青年。その災厄から逃れるため後先考えずに契約した妖魔。そして旅の途中で知り合った半妖の少女。暗い運命を背負いながらも前向きに旅を続ける3人組。彼らの旅はどこへ行くのか・・・

感想

アマゾンによると「ファンタジーの女王」何だそうです>冴木さん。そんな二つ名がついているとは知りませんでしたが,私が愛読する数少ない女性作家の一人の作品です。
この人の文章は読んでいて心地よさを感じます。会話の端々から伝わってくる生への賛歌。どんな逆境に置かれてもどこか能天気さを感じさせてくれる登場人物たち。2巻が終わったところでまだまだ全体像は見せてくれてはいませんが,しっかりと期待できる大長編となる予感たっぷりです。
で,この2巻を読んで感じたことですがこの人の本質は短編作家なのかなぁと。2巻だけでも2つのエピソードがしっかり完結しています。大きな流れの中で細かいエピソードの積み重ねていくという形。特にこのシリーズは連作長編っぽい感じも受け取りました。
ところで,最近のファンタジーの表紙や挿絵は何とかならないものですかね。このシリーズはまだましなほうだとは思いますが,思いっきりのアニメ絵。中にはこんなへたくそな絵を商業ベースにのせても?? ってなのまであります。せめてしっかりとデッサン力のある人に書いて頂きたいものです。昔の風情のある表紙絵が懐かしいです。