神林長平 鏡像の敵

鏡像の敵
鏡像の敵
posted with amazlet on 05.09.30
神林 長平
早川書房 (2005/08/25)
売り上げランキング: 2,227

あらすじ

駆逐装甲動力スーツを身にまとったわたし、太陽系宇宙軍の新藤中尉は、人間の憎悪を喰らう怪魔を追っていた。だが、ついに対峙した敵は、わたし自身だった。このスーツ内にはいったい誰が…鏡像との闘いの意外な結末を描く表題作、時間と睡眠をめぐる永久逃亡犯と永久刑事の相克「渇眠」、鏡世界への転移実験の顛末を描く「ハイブリアンズ」ほか全6篇を収録する、神林長平初期短編集。

感想

なかなかに濃い神林ワールドが味わえる短編集です。なかでも最初に出てくる「渇眠」は何度読んでもいいですね。とても20年以上前にかかれたものとは思えません。冷凍睡眠を利用して逃げ続ける永久逃亡犯と,それを追う永久刑事。その2人が遭遇するなぞの小惑星。時間を主観的なものと客観的なものとに分けてとらえているところなど神林さんです。
どの作品もとっつきやすいものではないですが,読み込んでいくことですべての作品に興津する独特の世界観に引きずり込まれること請け合いです。
ただ残念なのはどの作品もちょっとラストが弱いような印象があることですかね。もう少し続きが読んでみたいと思うのが多かったですね。実はそれも作戦だったりして。