谷甲州 パンドラ(上)(下)
あらすじ
渡り鳥チョウゲンボウの異常行動を観測した動物生態学者の朝倉は、渡り鳥の知能の向上という仮説を導き出した。その後インドネシアでのオランウータンの異変。そして,原因をおっていくうちに未知の彗星パンドラ,パンドラ2へとたどり着く。
感想
ハードです。とにかくこの大分量にこれでもかとたたみかけてくる内容。ハードだ。
前半は山岳小説家の谷甲州,後半は宇宙SF作家の谷甲州と上巻と下巻で違う面を見ることができます。
久しぶりの谷甲州の長編ということで,かなり期待して読み始めたのですが,もうこれは期待以上。谷さんの長編にしては珍しくあまり難解な仏教的な思想はあまり表に出ることなく,結構読みやすかったとの印象も持ちました。苦労して壮大な内容を読み切った満足さも良いですが,どんな展開かとワクワクしながらスリルとサスペンスを楽しんでいくというのも良いもんですな。
しかし,この人が描くとやはりロマンスにはならないですね。結構ラブロマンス的な要素もあると思うんですが。まあその点が一番のお気に入りの理由でもあるんですが。