谷甲州 星は、昴

星は、昴

あらすじ

君の国では、あの星をすばると呼んでいるのか…イギリス人のターナー博士の声が、遠い宇宙空間から流れてくる。博士と日本人の私は、ともに隔たった観測基地の研究者。孤独のなかで通信をかわすうちに友情がめばえたのだが・・・。

感想

この作者のライフワークともいえる「航空宇宙軍史」にも通じる宇宙SFを集めた短篇集です。ハードSFなんて難しくって手を出す気にもなれない,という人にもぜひ読んで欲しい作品です。
静かな口調の中に流れる哀惜・孤独,愛情・友情。読み終えたあと静かに一人涙する表題作「星は、昴」。寂しさがやがて喜びに変わっていく「フライデイ」。その他壮大なテーマの物もあれば,ギャグっぽいお話もある。谷甲州のいいとこどりって感じです。もともとが技術者であり山男である人となりから,とても男臭い作品が多いです。ちょっと恥ずかしい言葉ですが”男のロマン”ってのを感じさせてくれる小説家だと思います。この本で気に入ってくれた人は,ぜひ航空宇宙軍史のシリーズを読んでみてください(ただし,手に入りにくいものも多いですが)。また,SFはどうもと思う人には山岳小説もたくさん書かれていますので,そちらもお薦めします。

星は、昴
星は、昴
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甲州
早川書房 (1997/09)
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5 愛がいっぱい