鯨統一郎 なみだ研究所へようこそ!

なみだ研究所へようこそ!―サイコセラピスト探偵波田煌子
鯨 統一郎
祥伝社 (2001/03)
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あらすじ

新米臨床心理士と伝説のサイコセラピスト、そして美貌の女会計士が繰り広げる、クライエントとのユーモア溢れるドラマ。伝説のセラピスト・波田先生の涙が落ちるとき、不思議なフシギな推理がはじまる…。

感想

最初から鯨節炸裂ってかんじでお話はのどか〜に進んでいきます。伝説のセラピストが実際には野暮ったい女の子で心理学の知識も怪しげであるとか,訪れる患者達がなぞ賭けのようなとんでもない症状を訴えてくるとか。そして極めつけは,駄洒落としか思えない解決による結末。ユーモアたっぷりといえ,決してコメディにはなっていない,それどころかなんかほのぼのとした気分にさせられる不思議な作品です。主人公はどこか暗い影を持っていそうでいながら,とてつもない天然ボケで突っ込み役の青年と絶妙な会話を交わし,なんともいえない味わいがあります。
連作集ということで1編ごとは短く,まるで寓話集(^^) なんて感じもありますが,一服の清涼剤にいかがでしょうか。