眉村卓 司政官全短編

約1ヶ月ぶりです。今回はじっくり読み込みました。

司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)
司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)眉村 卓

おすすめ平均
stars文庫本で1500円は厳しい価格ですが価値はあります
stars出てくれてよかった。

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あらすじ

地球人類が星々に進出した時代。だが、それまでの連邦軍による植民惑星の統治が軋轢を生じさせるに及び、連邦経営機構は新たな制度を発足させた――それが司政官制度である。官僚ロボットSQ1を従えて、人類の理解を超えた植民星種族(ロボット、植物、角の生えたヒト型生命など)に単身挑む、若き司政官たちの群像。

感想

今から20数年前のこと,学生時代することもなくSFを読み漁っていた頃。「SFマガジン」は常にそばにあり,また新しい刺激を与えてくれる一番のものであった。その雑誌の中で読み始めた頃から毎号連載されていた眉村卓氏の「引き潮のとき」。いくつもの作品が新しく始まり終わっていく中,掲載されているのが当たり前であり当たり前のように読んでいた。社会人となり時間に追われ,いつしか「SFマガジン」を手に取ることも少なくなっていた。そして気がつくと,「引き潮のとき」は連載が終わっていた。
てな感じでとても懐かしいタイトルを偶然Webでみつけ,本屋さんを廻ってみました。かなり分厚くお値段も・・・でしたが迷うことなく購入。その夜からちまちまと読み込んでいきました。司政官シリーズの短編に眼を通したのは初めてでしたが,とても20年前に書かれたものとは思えずたっぷりと楽しませていただきました。そのうえ司政官についての解説までついておりとってもお買い特っ!
内容的には派手なアクションがあるわけではなく,渋いヒーローも出てきません。きらめくようなSFガジェットやアイディアがあふれてもいません。それでもそれぞれの時代にそれぞれの惑星で繰り広げられるヒューマンドラマに時間を忘れて引き込まれていくのは,SF第一世代の貫禄とでも言ってしまいましょうか(^^)
ぜひ司政官シリーズの長編2作も再刊をしてほしいものです。特に「引き潮のとき」は当時も思っていたのですが,通して読んでみたいものです。一応は黒田藩プレスというところからペーパーバックの扱いで出版はされていますが,さすがにちょっとお値段が厳しめな設定なので,ぜひ早川さんか創元社さんにがんばっていただきたい!